生前葬儀予約・契約

葬儀社との生前契約

基本的なこととして、自分の弔いは自分ですることはできません。
死を迎えてしまうと、どうがんばっても自分自身が弔いの主体になんてなれないからです。儒教的な考え方が浸透している日本社会では子が親の葬儀を出したり供養をしたりしていましたが、「おひとりさま」という言葉が社会の中で認知されていくように、親子という縦の関係そのものを持たない、持てない人が増えているのが実態です。

このような方々が利用できるサービスとして最近注目を集めているのが葬儀社との生前契約です。
事前相談や生前予約と決定的に違うのは、葬儀内容の決定や金銭の支払いを、自分自身が行うという点です。

自分自身の葬儀をプランニングであれば、事前相談や生前予約でも可能ですが、それの費用の支払いを誰がするのかとなると、喪主たる家族や親族に任せるしかないですよね。
しかし、この生前契約では葬儀の契約主が自分自身になるわけですから、当然支払いも自分ですることになります。

こうした生前契約では課題がいくつかありました。
まず、葬儀が発生した際の支払いをどうするのか。
葬儀は、予め1円単位まで金額が決められないという特性があります。逝去から安置場所までの搬送距離や、逝去から火葬までの安置日数、ドライアイスの使用料など、数量が変動する可能性があるものがいくつかあるからです。
その上、支払いを済ませた後に万一葬儀社が倒産した場合に、その費用は返金されるのでしょうか。
また、支払者たる本人が死亡しているわけですから、契約内容を葬儀社がきちんと履行してくれるのかという問題もあります。

生前契約には、以上のような問題がかならずまといつきます。ですから必ず葬儀信託の取り扱いのある葬儀社、あるいは信託会社に相談しましょう。

葬儀信託とは、葬儀費用を事前に信託会社に預け、葬儀が発生した場合に支払いを代行してくれるシステムです。

このシステムの場合

・・・という3点をきちんと確認しておきましょう。

また、一度プランを決定しても、プランの見直し、契約書の定期的な更新が約束されている、契約の解除も可能かも確認しておきましょう。
契約時から日が経つことで、契約者の考えや事情が変わることもありますからね。

葬儀信託は「おひとりさま」向けだけのサービスではありません。
喪主となる子の世代の負担を少しでも減らしておきたい方が利用されることもあります。
親族が故人の口座からお金を引き出そうとしても、口座は凍結されて、もろもろの手続きが必要となりますが、葬儀信託だとすぐに葬儀費用が支払われます。

5)生前葬儀とは

元気なうちから葬儀について考える方はいますが、生前に葬儀をする方もいるようです。
とはいえ、葬儀とは「葬る儀式」ですから、生前葬とは疑似葬儀でしかないわけです。生前葬をしたからといって、本当に死亡した時に葬儀をしなくてもよい、なんてわけにはいきませんし、死の報せを受けた時に「生前葬に参列したからもう参列しなくてもよいだろう」と考える人がはたしてどれほどいるでしょうか。

ものめずらしいためにメディアが取り上げこそはするものの、生前葬をする人はほとんどいないというのが実態のようですし、むしろそれは「生前葬」という名のパーティーでしかないようです。

6)1人で考えずに、誰かを巻き込んでの終活が理想

事前に葬儀について考えておくにも段階があるというのを分かって頂けましたでしょうか?
元気なうちに葬儀について考えておくことは、よい面もあるのですが、必ずしもそのセルフプランニング通りに葬儀が執り行われるとは限りません。

お金の工面も大変なのですが、もっと大変なのは人の手当だと言われています。誰が弔ってくれるのか、誰に弔われたいのか。

メモ書きや手紙のような形式の遺書を通じて喪主や葬儀の方法を指定することに法的あるいは感情的な拘束力はありませんし、遺言では、「祭祀承継者の指定」こそはできても、葬儀の方法までを命じることはできないようです。

自分一人で決めるには限界がある自分の葬儀。
大切なのは、元気なうちから周りの人たち、自分が弔ってほしい人(配偶者や子や兄弟、あるいは友人など)と相談したり話をしてみることが、よりより終活の第一歩ではないでしょうか。

生前契約って?
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