家族葬の服装マナーとは？押さえておきたいポイント | セレモニーガイド

家族葬は、近年多くの方が選ぶようになった、ごく親しい家族や身内のみで執り行う小規模な葬儀です。しかし、一般葬と違い「服装マナーはどうしたらいいのか」「どんな流れで進むのか」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。この記事では、家族葬の服装マナーと全体の流れについて、やさしくわかりやすく解説します。はじめて家族葬に参加される方、ご自身が喪主や遺族となる方にとっても役立つ内容となっていますので、ぜひご参考ください。

家族葬とは―特徴と背景

家族葬が選ばれる理由

家族葬とは、家族やごく親しい親族、友人など限られた人だけが集まる葬儀のことです。一般葬に比べて参列者が少なく、静かな雰囲気の中で故人と向き合うことができる点が大きな特徴です。近年は少子高齢化や価値観の多様化、遺族の経済的・精神的負担の軽減などから、家族葬を希望する方が増えています。形式にとらわれず、ゆっくりとお別れの時間を持てることも魅力のひとつです。

一般葬との違い

一般葬は、親族だけでなく会社関係やご近所、友人・知人など幅広い人が参列し、規模も大きくなります。一方、家族葬は10～30名程度が目安で、喪主や遺族が参列範囲を自由に決められるため、プライベートな雰囲気を保ちやすいのが特徴です。案内状に「家族葬のため、参列はご遠慮ください」などと明記することで、トラブルも防ぐことができます。

家族葬の流れ

事前準備・手配

家族葬の準備は、ご逝去直後から始まります。まず、喪主を決め、信頼できる葬儀社を手配します。ご遺体を自宅や安置所に搬送・安置し、葬儀社と打ち合わせを行います。日程や式場、宗教形式、参列者の範囲などを家族で話し合いながら決めていきます。菩提寺がある場合は早めに僧侶の都合も確認しましょう。

納棺と通夜

納棺は、専門の納棺師や葬儀社のサポートのもと、家族で故人の身支度を整え、棺に納める儀式です。その後、通夜が行われます。通夜は、故人と最後の夜を家族や親しい人たちと過ごす大切な時間です。形式は一般葬と同様ですが、家族葬では参列者が少ないため、静かで落ち着いた雰囲気となります。読経や焼香、喪主挨拶などの進行もシンプルに行うことが多いです。

葬儀・告別式と火葬

通夜の翌日に、葬儀・告別式と火葬を執り行います。葬儀・告別式では、僧侶による読経やご焼香、喪主や遺族の挨拶などが行われます。告別式が終わると出棺し、火葬場へ向かいます。火葬後は、収骨（お骨上げ）を済ませます。家族葬の場合は、一連の儀式を1日でまとめて行うケースも増えています。

初七日法要や会食

葬儀・火葬後、初七日法要を繰り上げて当日に執り行うことも一般的になっています。また、家族や親しい人たちだけでささやかな会食を設ける場合もあります。参列者が少ない分、ゆっくりと故人を偲ぶ時間を持つことができます。会食の有無や内容は、遺族の考えや地域の慣習により異なります。

家族葬の服装マナー

基本的な服装の考え方

家族葬でも、服装は一般的な葬儀と同じく喪服を着用するのが基本です。特に喪主や親族は、格式を意識した装いが望まれます。ただし、案内状などで「平服でお越しください」と指定があった場合は、略喪服や落ち着いたダークカラーのスーツなどでも問題ありません。服装について迷った場合は、あらかじめ喪主や遺族に確認しましょう。

喪服の種類と着用マナー

喪服には、正喪服・準喪服・略喪服の3種類があります。正喪服はもっとも格式が高く、主に喪主や故人の配偶者が着用します。準喪服は一般的な喪服で、親族や一般参列者に適しています。略喪服は「平服」とも呼ばれ、通夜や案内状に「平服で」と記載があった際に着用します。どの場合も、喪主や遺族より格式が高い服装を避けるのがマナーです。

男性の服装マナー

男性の場合、喪主や親族はブラックスーツ、白のワイシャツ、黒無地のネクタイ、黒い靴下、光沢のない黒い革靴が基本となります。参列者も同様に準喪服（ブラックスーツ）が望ましいですが、「平服で」と案内があった場合は、濃紺やダークグレーなどの落ち着いた色のスーツでも問題ありません。ネクタイピンやアクセサリー、派手な腕時計は外すのがマナーです。

女性の服装マナー

女性は、黒無地のワンピースやアンサンブル、ブラックフォーマルが基本です。スカート丈は膝が隠れる程度が望ましく、装飾のないシンプルなデザインを選びましょう。黒いストッキングやパンプスも合わせます。アクセサリーは結婚指輪や一連のパールネックレスのみ許容されますが、それ以外は極力控えましょう。派手な髪型やメイク、ネイルも避けてください。

子どもの服装マナー

子どもは制服があれば制服を着用し、ない場合は黒や紺、グレーなど落ち着いた色合いの服を選びましょう。白いシャツやブラウスに黒や紺のズボン・スカートが一般的です。赤ちゃんや幼児は、ベージュやグレーなどのシンプルな服で問題ありません。靴下や靴も黒や白など目立たない色を心がけます。

平服・略喪服を指定された場合の対応

家族葬では、「平服でお越しください」と案内されることも増えています。平服とは、普段着ではなく略喪服のことを指し、地味なダークスーツやワンピースを選びます。男性は黒やダークカラーのスーツ、女性は黒やネイビー、グレーなどのワンピースやスーツが無難です。ジーンズや派手な色柄の服、Tシャツ、露出の多い服装は避けてください。

靴・カバン・小物のマナー

靴は男性・女性ともに、黒で光沢のないシンプルなデザインが望まれます。女性のパンプスはヒールが5cm以内、金具や装飾のないものがベストです。カバンも黒の布製や革製のシンプルなものを選び、目立つ金具や模様入りは避けましょう。アクセサリーはパール以外は控え、ネイルも落ち着いた色でシンプルにします。

季節や天候に応じた服装の注意点

夏の葬儀では、男性は半袖シャツにジャケットを着用し、女性は袖のあるワンピースやトップスを選びましょう。ノースリーブや肌の露出が多い服は避けてください。冬の葬儀では、黒やグレーのコートやマフラーを身につけてよいですが、受付や会場では脱ぐのがマナーです。ブーツやタイツも派手なものや毛皮は避けて、シンプルなものを選びましょう。雨や雪の場合は、移動時は防水性のある靴で構いませんが、会場では履き替えましょう。

家族葬の服装でよくある疑問と対処法

喪服が用意できない場合

急な訃報で喪服が用意できない場合は、黒やダークカラーのスーツやワンピースで参列し、光沢や柄のないものを選びましょう。レンタルサービスを利用する方法もあります。どうしても準備できないときは、喪主や遺族に事情を伝えて相談してください。

直葬・火葬式の場合の服装

直葬や火葬式では、形式にこだわらないケースもありますが、ほとんどの方は準喪服か略喪服を選びます。家族だけの直葬であっても、派手な服装やカジュアルな格好は避け、できるだけ落ち着いた装いで参列しましょう。案内があればその指示に従い、迷う場合は事前に家族や葬儀社に確認することが大切です。

宗教による服装の違い

仏式以外にも神道式やキリスト教式の家族葬では、それぞれ服装に多少の違いがあります。神道式は仏式と同じ準喪服で問題ありませんが、数珠は不要です。キリスト教式の場合、女性が黒い帽子やベールを着用することもありますが、参列者はブラックフォーマルで問題ありません。無宗教の場合も落ち着いた黒やダークカラーの服装が基本です。

家族葬の服装マナーと流れを押さえて安心して参列しましょう

家族葬は、故人と親しい人だけで静かにお別れできる葬儀のスタイルです。一般葬に比べて服装や儀式が柔軟な場合もありますが、基本的なマナーを守ることが大切です。喪主や遺族、参列者それぞれが適切な装いを選び、思いやりを持って参列することで、故人を心から偲ぶ時間となるでしょう。服装や流れについて事前に知っておくことで、不安なく家族葬に臨むことができます。ご家族にとって大切なひとときを、安心して過ごせるよう、ぜひ参考にしてください。