遺族年金の受給について
遺産相続財産のなかに「遺族年金」があります。故人はすでに老齢年金を受給していたり、現職で死亡した場合もあります。 遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、手続き等は別々になっています。「遺族基礎年金」は国民年金に加入した自営業者、「遺族厚生年金」は厚生年金を支払っていた会社員などが死亡したとき遺産となる年金です。 それでは、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」に区分して、手続き・受給期間・受給対象者について詳説します。
1.必要書類(共通)
- ・年金手帳
- ・戸籍謄本
- ・世帯全員の住民票(写)
- ・死亡者の住民票(除票)
- ・請求者および子どもの収入が確認できる書類
- ・故人の死亡が確認できる証明書(死亡診断書の写し等)
- ・受給するための金融機関の通帳(写しでも可)
2.遺族基礎年金
故人が国民年金加入者中であり、自営業者が死亡した場合に発生する遺族年金です。
提出先
・住所地の市町村役場の窓口。
・ただし、死亡した日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は近くの年金事務所・年金相談センターです。
国民年金第3号被保険者とは、厚生年金加入者の会社員や公務員に扶養されている場合で、20歳から60歳までの年収130万円以内までの配偶者です。
3.遺族厚生年金
故人が厚生年金の被保険者中または被保険者だった場合に発生する遺族年金です。
提出先
お近くの年金事務所・年金相談センター
4.遺族年金を受給すると税務申告が必要かどうか不安になりますが、結論は不要です。
遺族年金は非課税扱いとなりますから、税務申告の必要はありません。ただし故人の死亡のため未支給年金があれば、請求して受け取った場合は「一時所得」になる場合がありますからご注意ください。
ただし、遺族年金受給は一定の手続きを行って請求権を実行しなければ受給できませんから、権利を実行しなければいつまで経っても受給できない状態になり、遺族は生活困窮者になってしまいます。
遺族年金の受給期間は子どもの年齢に要注意!
1.遺族基礎年金受給期間
遺族基礎年金は18歳までの子どもがいる場合に限られますから、子どもがいない配偶者は受給できません。
・子どもが18歳になった年度の末日(3月31日)まで受給できます。
たとえば、子どもが18歳になった時点に配偶者が40歳だったとすると、遺族年金受給はなくなり、65歳になったとき老齢年金受給対象になります。
ただし、残された配偶者に子どもがいなかった場合、遺族基礎年金とは別に「寡婦年金」、「死亡一時金」が支給される場合があります。
2.遺族厚生年金受給期間
①会社員の夫が死亡し妻子だけ残され、子どもが18歳に満たない場合。
「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の両方を受給できます。「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」は2階建て方式の受給制度だからです。
②子どもが18歳になった年度の末日(3月31日)になったとき。
「遺族基礎年金」は受給できなくなりますが、「遺族厚生年金」は受給できます。しかも「中高年寡婦加算」があり、併せて受給できるようになります。
③子どもがいなかったり、すでに成人している場合。
「遺族基礎年金」は自営業者と同じく受給できませんが、「遺族厚生年金」は受給できます。
④子どもが20代と若い場合。
いずれにしろ、65歳からの老齢年金受給まで、連続して「遺族厚生年金」受給できる場合は①、②、③の条件が必要になります。ただし、夫の死亡後再婚したら、受給資格は失効し受給できませんからからご注意ください。
遺族年金をもらえる対象受給者には年金受給格差がある?
1.遺族基礎年金
国民年金加入中で死亡したとき、その者によって生計が維持されていた配偶者または子が受給対象になります。
※子とは、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子。または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子をいいます。
そして、「配偶者」と示されているため、母子家庭だけではなく父子家庭でも適用できるということになります。
2.遺族厚生年金
厚生年金保険の被保険者中または被保険者であった者が死亡したとき、その者によって生計維持されていた遺族が受給できます。 受給対象の詳細は下記のとおり。
- ・妻
- ・30歳未満の子のない妻は、5年間の有給給付。
- ・子のある配偶者、子(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)。遺族基礎年金もあわせて受給可能。
- ・子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)。
- ・55歳以上の夫、父母、祖父母。
「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」ともに、受給者が生計を維持してきたかどうかは前述「Ⅰ」における請求必要書類のなかで、住民票(写し)などによって証明されます。 遺族年金受給制度という社会保障は、遺族が若すぎても老齢年金をもらう高齢でも制限される仕組みになっています。 結果として、人はいつか必ず死ななければなりませんが、老齢年金受給者は長生きしなければ損ということになります。
まとめ
遺産相続として「遺族年金」があります。遺族年金は非課税扱いですから、相続税の申告必要事項ではなく、死亡した被相続人によって生計を一にしてきた遺族を支給対象とします。遺族年金受給には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つに区分され、死亡した被相続人が自営業者か会社員・公務員かによって扱いが異なります。損得で考えると、国民年金より厚生年金は事業主が半分負担してくれますからどうしても優遇されています。遺産相続において、故人の葬儀前後にはいろいろと頭が過ぎり悩むことは多いかも知れませんが、少なくても年金停止などの手続きを速やかに行うことで、遺族年金の受給手続き相談を同時に行うことが賢明です。
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